学院生活職藝の四季

人と土の日 2010年5月

10/07/02 UP

2010年5月13日の「人と土の日」は、職藝学院の森の枯れたアカマツの撤去作業を行いました。
 (「人と土の日」は、作業を通じて親睦を図る目的で2005年から年2回春と秋に設けられ、全学生と職員が参加し校内整備や畑作業などを行なっています。)
職藝の森も、マツノマダラカミキリが運ぶマツノザイセンチュウの影響で、枯れたアカマツが見られるようになりました。
 木の中にいるマツノマダラカミキリの幼虫が成虫となり外へ飛び出し、別のマツの枝をかじる時にマツノザイセンチュウも移動し、そのマツも枯れる可能性が高くなります。そのため成虫になる前のこの時期に撤去を行なうことにしました。

環境職藝科の学生が手鋸(てのこ)で、枝を切っています。 建築職藝科の学生が鋸(のこぎり)で、幹を切っています。 左端の学生は丸太を切りやすくするために、角材で少し丸太を持ち上げています。

 丸太を切るのに使用した鋸(のこぎり)です。「手曲鋸改良刃(てまがりのこかいりょうば)」と言います。
 手曲鋸(てまがりのこ)は明治になってから多く使われるようになりました。手元に近い所で柄が曲がっているので、このような名前がついたそうです。てこの原理で刃が材に食い込みやすくなっています。また、刃には大きく欠けている箇所が規則的に並んでいて、丸太を切る時におがくずを引き出しやすいように工夫されているそうです。
チェンソーなどの動力機械があまり普及していない昔は、木材を切るのにこれを使用していました。工務店を営んでいる大工の先生が、保管されていたのを持って来て下さったものです。

運べる大きさに切った木を一輪車で森の中から出しています。 少し大きな木材は2人で担ぎます。 もっと大きな材はロープをかけてみんなで引っ張ります。
 
切った丸太をユニックに乗せています。 撤去木材はトラック10台分にもなりました。
 
伐倒前の風景 アカマツの枯れた葉が茶色になっています。 伐倒後の風景 1本なくなるとずいぶん景色が変わります。 伐倒前の風景 森の中にアカマツの枯死木が見られます。
 
伐倒後の風景 枯死木を撤去した後の森です。

 木材は近くの堆肥製造所へ運びました。そこで砕かれて堆肥になります。
 マツノマダラカミキリの幼虫は、直径2cm以上の太さの枝には、いる可能性があると言われており、幹の深い所にも潜り込んでいます。そのため成虫になる前に、木材を粉砕、燃焼、薬品をかける等を行い、中の幼虫や蛹を退治することが、次の被害を防ぐことへ繋がります。

学生の感想
・角材と丸太では、切る容量が違って大変だった。
・手曲鋸(てまがりのこ)を挽くのが難しく、引っかかって大変だった。
・普段は製材された木しか見ないので、今日はちょっと良い経験ができたと思った。
・切る作業も手間がかかるが、その後の片付けが大変だった。
・山仕事は大変だと思った。
・楽しかった。
・体を動かすのは気分が良い。など。

 日々の実習で木材を切ることに慣れているはずの建築職藝科の学生も、初めて使う手曲鋸(てまがりのこ)や、樹の皮が付いたままの丸太に、いつもとは勝手が違い大変だったようでした。
 けれども、全校学生で体を動かし楽しかったという意見が一番多かったです。

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